美術・展覧会

「戦争画」の生みの親達。 『絵筆のナショナリズム フジタと大観の戦争』

五島美術館で6月21日まで開催されいた「近代の日本画展」。その中で個人的に目を引いたのは横山大観の「竹外一枝」と言う作品でした。作成されたのは昭和21年、大観が戦争画の指導者という立場についてGHQからは不問とされながら、一方で世間では美術家の責…

モデルの彼女と素の彼女 「山口小夜子 未来を着る人」展@東京都現代美術館

東京都現代美術館で開催されていた「山口小夜子 未来を着る人」展へ行ってきました。 山口小夜子氏は1970年代から80年代を中心に活躍したファッションモデル。 高田賢三や山本寛斎、三宅一生といったデザイナーのショーに出演し、パリ・コレクションにも登場…

『ヒトラーと退廃芸術』 あるいは、MoMATには戦争画展を開催してほしいという話。

久しぶりのブログ更新です。 今回は最近読んだこちらの本についてです。ヒトラーと退廃芸術―「退廃芸術展」と「大ドイツ芸術展」作者: 関楠生出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1992/10メディア: ハードカバー クリック: 3回この商品を含むブログ (15件)…

18回目の感想 平成26年度 文化庁メディア芸術祭@国立新美術館

久々にブログ書きます。久しぶりなので散漫な書き散らし。文化庁メディア芸術祭が2月15日まで開催されていました。平成26年度で第18回だそうで、もうすぐ20周年です。 ということで例年通り午前中混まないうちから、国立新美術館へ行ってきました。今年の会…

芸術の秋 国宝の秋

芸術の秋ということで、各美術館が力を入れた企画展が開催される季節です。 今年はなんか「国宝」が展示される企画が多いんじゃないかと思いました。訪問済み・訪問予定の美術展からちょっとまとめてみたいと思います。 「日本国宝展」@東京国立博物館 展覧…

魔法少女への道 美少女の美術史展@静岡県立美術館

美少女をあまねく集めた展覧会。 静岡県立美術館へ「美少女の美術史」展を見に行ってきました。 静岡県立美術館・青森県立美術館・島根県立美術館の3つの地方公立美術館が連携しての企画展。2010年度の「ロボットと美術」以来となるトリメガ研究所の企画だそ…

3年に一度の芸術祭 ヨコハマトリエンナーレ@横浜美術館

少し前のことですが、ヨコハマトリエンナーレに行ってきました。 といっても横浜美術館のみで新港ぴあにはいけておりませんが。 新港ぴあの部分についてはいつ行けるかわかりませんので、とりあえず現在までの感想を書いてみます。2011年以来のトリエンナー…

台湾らしさってなに 台湾に関係する4つの展覧会から

2014年は台湾から多くの美術品が来ているようです。5月「東京・ソウル・台北・長春-官展にみる-それぞれの近代美術」@府中市美術館 (美術と日本の近代史 -官展とリアリズム美術の展覧会から- - 私を月に連れて行け) 6月「台北 國立故宮博物院-神品至宝-」…

アール・ブリュットの取り扱い 「岡本太郎とアール・ブリュット-生の芸術の地平へ」展@川崎市立岡本太郎美術館

川崎市立岡本太郎美術館で開かれている「岡本太郎とアール・ブリュット-生の芸術の地平へ」展についてです。 生田緑地の奥、丘の上にあり川崎生まれの岡本太郎の作品を収蔵している美術館。 岡本太郎作品を中心として構成された平常展と、岡本太郎に縁のあ…

「写真」とはなにか 『これからの写真』@愛知県美術館

愛知県美術館の『これからの写真』展に行ってきました。テーマは展覧会名の示す通り、これからの写真芸術のあり方について。気鋭の日本人写真家・アーティストの作品をもとに、技術の進化の中で変質していく写真の本質を見つめなおすことで、私たちはこれか…

戦後日本住宅伝説 挑発する家・内省する家@埼玉県立近代美術館

そろそろ記事を書かないと変な広告が上がってきそうなので。埼玉県立近代美術館にて『戦後日本住宅伝説 挑発する家・内省する家』という気合の入ったタイトルの展覧会に行ってきました。 挑発的なタイトルが気になったのと、この展覧会が終わると埼玉県立近…

現代美術界入門 「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である」展

「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である」展@東京国立近代美術館に行ってきました。 派手な女性像のポスターがあちこちに貼られていますが、展覧会の内容自体は実に正統的なものでした。展示されているのは、台湾の電子機器メーカー・ヤゲオのCEOが設…

日本と西洋の美術循環 -ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展-印象派を魅了した日本の美-

世田谷美術館で開催されている「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展-印象派を魅了した日本の美」展。NHKの後援でかなり宣伝をされています。クロード・モネの「ラ・ジャポネーズ」をアイコンとしたポスターが東京のあちこちに張られています。こういう展…

台北国立故宮博物院展 翠玉白菜”だけ”見てきた

上野・東京国立博物館で開催されている「台北 國立故宮博物院-神品至宝-」展。目玉は6月24日から7月7日まで展示されている「翠玉白菜」。展示会場も平成館ではなくて本館特別5室という格別の扱い。 特別5室は《モナ・リザ》や《民衆を導く自由の女神》など注…

ゴービトゥイーンズ展とこども展

六本木ヒルズでは子どもに関する2つの展覧会が開催中です。 今回はその感想を。 こども展 森アーツセンターギャラリーで開催されている「こども展」についてです。 19世紀から20世紀にかけての子どもの肖像画を集めた展覧会です。2009年にフランスのオランジ…

美術と日本の近代史 -官展とリアリズム美術の展覧会から-

今回は美術から近代史を考えることができる2つの展覧会についてです。「東京・ソウル・台北・長春-官展にみる-それぞれの近代美術」@府中市美術館と「われわれは〈リアル〉である 1920s -1950s プロレタリア美術運動からルポルタージュ絵画運動まで:記録…

宮崎進と石田徹也 抽象と具象

今回は神奈川県で行われた2つの展覧会の感想です。神奈川県立近代美術館葉山で行われた「立ちのぼる生命 宮崎進」展と平塚市美術館で行われた「石田徹也展-ノート、夢のしるし」です。 この2つはともに負の感情を美術に落とし込んだ作家の展覧会という点で…

コメ展@21_21 DESIGN SIHGHT 

今回は六本木の21_21 DESIGN SIHGHTで開催されている「コメ展」についての感想です。 コメとデザインの関係性 21_21 DESIGN SIHGHTは三宅一生氏が唱導している「国立デザイン美術館」の民間版として開始された美術館で、デザインに関する企画展を中心に展示…

江戸絵画についての展覧会×2

都内では江戸絵画についての2つの展覧会が同時に開催されました。 江戸絵画の19世紀@府中市美術館 のぞいてびっくり江戸絵画@サントリー美術館 今回はこの二つの展覧会について並べてみたいと思います。*1 18世紀以降の江戸絵画(サントリー美術館) サントリ…

バルテュス展@東京都美術館

今回は東京都美術館で開催中のバルテュス展について。バルテュスについては、本人の作品を見るより先に原久路さんによる「バルテュス絵画の考察」でその存在を知りました。 その時は実物の写真のみを見ただけでその質感までは認識できず、面白い構図で描く画…

2600円の話 岡田美術館と湘南ベルマーレ

4月20日は神奈川県西部の2箇所を訪れました。 1箇所が箱根にある岡田美術館で開催された「再発見 歌麿「深川の雪」」、もう1箇所がShonanBMWスタジアム平塚で開催された「湘南ベルマーレvs大分トリニータ」の試合です。 岡田美術館訪問 まず午前中は岡田美術…

MOTアニュアル2014 フラグメント―未完のはじまり― @東京都現代美術館

4月12日は東京都現代美術館におじゃまして、「MOTアニュアル2014」と「驚くべきリアル」の2つの展覧会を拝見してきました。 今回はそのうち「MOTアニュアル2014」について、本当に取り留めもなく頭に浮かんだことを書いていきます。構成とかない感じで。「MO…

あそびのつくりかた @ 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

4月5日のカマタマーレ讃岐 vs 栃木SCの試合終了後、シャトルバスに乗り駅前まで戻ります。 駅前に戻る頃には試合途中から降り始めた雨が本格的なものになり、寒気が強くなっていましたが、次の目的地なら平気! ということで丸亀にやってきたもう一つの目的…

ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1860-1900

2014年度初めての展覧会は「ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1860-1900」@三菱一号館美術館でした。19世紀後半イングランドの美術・文芸・建築・デザインといった文化状況を「唯美主義」をキーワードに概観していくという構成です。展示品の中心はVictria …